僕は、ガラスを鋳造するという技法を使っている。
しかし、一言に「ガラスを鋳造する」と言ってもそのやり方は様々な方法がある。
そしてガラスの素材もいろいろあって、出来上がりの表情もまったく異なる。
ガラスを鋳造するため、まずその「原形」を作る。普通は、粘土やワックスを原形に、石膏で型を取り、
できた型の中にガラスを詰めて鋳造する方法なのだが、これまでの僕の作品は、吹きガラスで吹いた中に直接ガラスを鋳造した作品もある。
だが、どれも最初に何らかの素材で造形を行い、型を作って、そこからガラスを鋳込むというプロセスだ。
今回最も違う点は、原形を作らないことだ。
ガラスを鋳造する時点ではそのカタチが現れてはいない。
ガラスを鋳造してから、カタチを削りだす。つまり、石の彫刻のようなやり方だ。

削りだしていかないと現れてこない模様。
研磨していかないと見えてこないガラスの表情。
それは、制作のプロセスで一瞬たりともガラスから離れることは無い。
僕とガラスが一体となって創り出しているような感じ。
1つ目ができたとき、心の中でものすごい達成感と感動の波が押し寄せ、
工房の真ん中で感動して震えていた。
一つ、次ぎへの扉が開いた感じだった。

 






 
total today yesterday