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Episode 1 
【プレゼンテーション】



プレゼン作業をアシストしてくれた谷口
2003年10月、その年の夏に開いた個展※を、 見に来ていただいたギャラリーの方から、 汐留に新しくできるビルのアートワークの件で相談を受けた。
そして、プレゼンをさせていただくことになった。
建築と絡む仕事は望むところなので大歓迎だった。
模型
だが今回は、話をいただいた時に思っていたほど、 いろいろなことがスムーズに進行しなかった。 と言うより、大きなプロジェクトの進行に僕はとまどった。
作品のアイディアを考え、パース画を起こし、模型を作り、プレゼンテーションをし、 幾度もの変更が加えられ、関係各所のOKが出たのが翌年の2004年の3月上旬だった。
プレゼンテーションの結果が出るまでの間、とにかく「待つ」ということが、
今回の仕事で 学ばなければならないことだった。
設計図
許可がおり、早く制作に取り掛かりたくてウズウズする日々が続いた。 何度も工事中のビルへ足を運び、遠巻きに眺めながらイメージを膨らませた。
今回は、完成した空間に作品を入れ込むわけではなく、
設置場所のビル自体工事中で、 ビルが完成すると、同時に作品を設置しなければならなかったので、 空間と作品のバランスを取るのは一発勝負だった。
僕は空間の認識を確固たるものにするため、今はまだ何もなく トラックやクレーンが行きかう場所を眺め、図面を読み込んでさまざまなスケールの模型をつくり、その空間を自分自身にしみこませる作業に大半の時間を費やした。
ビルの隣には浜離宮の緑豊かな景色が見える立地
どれだけ僕自身が、その空間をはっきり正確に、 把握できているかがとても重要なことで、 これから現れる空間に対し作品のサイズ、量感、バランスなどを決めるために、 欠かせない作業だったからだ。
工事中のときの現場
徐々に現場が出来上がってゆくたび、その空間の呼吸は変化していった。
バーチャルな認識と、リアルな認識がだんだん一つに重なってゆく感じだった。 あとはやるだけだった。

 

 

 
パース画   1/10模型

 

※2003年7月25日~8月10日工房で開催した狩野智宏個展「TOHKA 灯火」BOOK Cafe´でもエピソードを掲載した。




 
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