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Episode 8
【 タイムロス 】



夜中までまた谷口が手伝ってくれた
風邪を引いた。夏は猛暑の作業場も、10月に入ると肌寒く、夢中で制作していてハッと気がつくとからだが冷えきり、
ましてや水を出しながらの研磨作業だし、ちょっと油断したら高熱が出た。
そして、追い討ちをかけるように作品を設置する池のサイズが変更になった。
つまり、28本のガラスの柱を立てる位置、ガラスの塊の位置を変更し、全体のバランスを考え直さなければならなくなったのだ。
ガラスを研磨して制作するだけでも時間が足りない僕にとって、まさにプロジェクトXモノの事件。
28本の三角柱はすでに作業が終わっているし、作業に取り掛かる前の綿密な、計画は隙がなかった。
それだけに、池のサイズが余儀なく変更されるというのは「ちょっと修正」と言うわけにはいかない。
咳をしながら模型と奮闘 
しかも、2月のビル竣工に向けて工事現場や建築会社でもタイトなスケジュールになっているらしく、夜中になってもいいから今日中に図面をあげてくれという勢い。
熱っぽい体に鞭打って模型を工房に広げ、作業した。
とにかく「悔いのない作品を作るしかない!」と自分に言い聞かせふんばった。
しかしその後、生まれて始めて点滴まで受ける始末。
一日毎の点滴は苦痛でベッドから起き上がれず、結局寝込んでいる間に7回も受けた。
ラストスパートの大切な時期に大打撃のタイムロスだった。

 




 
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