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■奥村禎秀プロフィール

『第一部 水族館の楽しみ方』

第1回「水族館を倍楽しむ方法」 第2回「水族館物語」 第3回「いい水族館わるい水族館」
第4回「水族館の形」 第5回「番外篇」

第6回「水族館、隠れた見所」

第7回「第6回世界水族館会議」 第8回「 水族館と万博 」  

『第2部 中国の水族館〜熱烈的超最新レポート!!

第1回 大連老虎極地水族館

第2回 青島極地水族館(チンタオ キョクチスイゾクカン)

   
第3回 中国水族館(番外篇)        

第2回 青島極地水族館(チンタオ キョクチスイゾクカン)
青島ビールと甘酢かけイチゴ
青島ビールと甘酢かけイチゴ
入り口の南極の石とホッキョクグマ
入り口の南極の石とホッキョクグマ
天井のペン
天井のペンギン
ペンギン水槽
ペンギン水槽
ベルーガのプール
ベルーガのプール
古代遺跡造形水槽
古代遺跡造形水槽
サメの写真コーナー
サメの写真コーナー
熱帯水槽
熱帯水槽
人魚姫が泳ぐ水槽
人魚姫が泳ぐ水槽
 
自称世界最大トンネル水槽
自称世界最大トンネル水槽。
 
 

お待たせ致しました。新規連載「中国水族館シリーズ」第2弾は、まだ2006年の7月にオ―プンしたばかりの「青島極地水族館」です。

青島は、1897年のドイツ占領下時代の名残りを、今でも旧租借地の町並や、日本でも有名な青島ビールの味と風情の中にとどめています。
どこまでも続く美しい海岸線には高級ホテル群が立ち並び、夏にはリゾートとして賑わう、言ってみれば日本の湘南の庶民的な手ごろさと、華やかな高級ホテルに彩られた沖縄のお洒落なリゾート感とをひとつに合わせたような所なのです。
青島には1932年に建設された中国最古の「青島水族館」(第6回大人の水族館で、現在の水族館にある円柱水槽の写真を紹介)や、世界的に有名な「青島海洋研究所」などがあり、歴史的にも海洋との関わりの深い土地柄です。

新しいショープール
新しいショープール
水族館入り口
水族館入り口

さて、今回ご紹介する「青島極地水族館」は、前回ご紹介した「大連の水族館」とは姉妹関係にあるのですが、こちらは極地生物と海獣類の展示をメインとしていて、それなりに大連の方よりも一段と進化を遂げています。
入場料は、120元(約1900円)。
総面積20,000平米、総水量11,000トン、そして現在も引き続き大型魚の水槽や海獣類のショープールの建設が進行中です。今夏には水量が更に増えて、総トン数約20,000トン以上にはなるでしょう。ちなみに我が国最大の「沖縄美ゅら海水族館」の水量は、15,000トンです。
・・・というわけで水族館の入場口を一歩入ると、まず正面の水槽にはベルーガが、そして見上げる天井水槽にはペンギンが迎えてくれます。         
中国語の解説板が読めないまま、ホッキョクグマ、ラッコ、アザラシといった極地の動物たちに目をやりながら、例によって脅威的な人口に対応した広過ぎるほどの導線通路に従い、独り歩を進めていると、急に自分が小さくなり、普段見慣れた小動物たちとさえ同じ大きさになってしまう恐怖と、それらの動物たちへの親しみとが不思議に錯綜して、思わず実存主義なんかについて考えてしまい、水族館における物理的空間の機能性と自らの偏見との関係性が哲学の領域まで高まりをみせ、危うく柱にぶつかりそうになって、心ならずも暗闇に寄り添うカップルの冷たい視線に、ふと身を固くしてしまう・・・。
更に進むと長いスロープの頂には、愛くるしいペンギン水槽があって、ジェンツー、チンストラップ、エンペラーなど、極地ペンギンの種類の多さには、毎度のことながら驚いてしまう。
よくもここまで集めたもので、日本の水族館も近年これだけの量を集めるのは困難でしょう。しかしアラを探すわけではないが、その中に極地には居ない筈の“ロックホッパー"がいるのが少し残念な気持ちにさせられるのですが・・・。

帆船復元
帆船復元

とかなんとかあれやこれやと思いを馳せながらスロープを進むと、辺りはテーマパークの様な展示形態になり、そこには1300年代、大船団を率いて世界の海に乗り出した鄭和(彼は、一説にはコロンブスよりも早くアメリカ大陸を発見したと言われています)の主船であった宝船(ほうせん)のレプリカが陳列されていて、観る者には中国の海洋歴史の誇りがひしひしと伝わって来ます。

イルカ、海獣ショウのプール
イルカ、海獣ショウのプール

スロープの下にはベルーガのプールがあり、何故かサメのレプリカが吊るされ、更に2人の人魚姫が舞い降りる熱帯の水槽・・・自称“世界一の海獣トンネル"へと続いています。
やはりここでも、イルカや海獣のショープールが人気で、以前にはシロイルカを乗りこなす5歳の男の子がいたらしい。今は、笛を吹くセイウチが“いやァ、何とも役者じゃのォ〜!"と言いたくなるくらいの芸達者ぶりで、大変な人気を博しています。

飼育員達の輝く目
飼育員達の輝く目

その後、幸いに私は、この水族館の飼育の人々と直接話しをする機会に恵まれました。
近代水族館の歴史も浅く、飼育技術もまだ手探り状態ではあるものの、日本の水族館についての質問を次々と投げかける若い人々の瞳は、水族館飼育員としての情熱でキラキラと輝いていました。
どこかで見たことのあるその目・・・そう、その目は私たち日本人にもどこか共通するところのある「生き物好きな人の、生き物を見つめる目、私流の表現が許されるならば、“魚食人”の目」だったのです。

 


俳句

蝉麻呂

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蝉麻呂
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