■奥村禎秀プロフィール
『第一部 水族館の楽しみ方』
第1回「水族館を倍楽しむ方法」
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第2回「水族館物語」
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第3回「いい水族館わるい水族館」
第4回「水族館の形」
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第5回「番外篇」
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第6回「水族館、隠れた見所」
第7回「第6回世界水族館会議」
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第8回「 水族館と万博 」
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『第2部 中国の水族館〜
熱烈的超最新レポート!!
』
第1回 大連老虎極地水族館
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第2回 青島極地水族館(チンタオ キョクチスイゾクカン)
第3回 中国水族館(番外篇)
第3回「いい水族館わるい水族館」
モントレー湾より。アンチョビ缶詰工場跡。30年前のビンテージ写真
現在のモントレー水族館入口。昔のアンチョビ工場の面影の煙突が残されている。
アオブダイ
ジャイアントケルプ大水槽
海のジュエリーBOX(クラゲ水槽)
クラゲ展示
モントレー水族館エントランスロビー
ハギ
水族館にいいとか悪いとかの基準があるのか・・・?
そんなもんはありません。しかし、1984年以後に竣工した国内の水族館の大半は、丁度この年にアメリカ西海岸のモントレイ‐べイにオープンした、或る『水族館』のことを意識した筈です。
蝉麻呂
で、その『水族館』とは・・・「怒りの葡萄」「エデンの東」の作家、
スタインベツクで有名なキャナリー・ロウにあって、来なくなったアンチョビの缶詰工場廃屋跡地に造られた水族館で、美しい海岸線とジャイアントケルプという、とんでもない大きさの藻類が湾の中に繁茂し、
ラッコがその海藻をベッドにして寝そべりながら、豊富なアワビやウニ、カニのモーニングサービスを採る光景が楽しめる、豊かな自然に恵まれた海の環境を活かす、新しい街造り計画の一環として建設された『モントレイ水族館』のことなのです。
蝉麻呂
特に元の『缶詰工場』という雰囲気をできるだけ残し、湾内の大型藻類(ジャイアント・ケルプ)やラッコをさり気なく展示し・・・(ラッコを日本の様に珍獣扱いはしていない)・・・「種の保存・環境保護」を目的としてラッコの医療体制をも完備しており、しかもこれらは隣接する「スタンフォード大学ホプキンス海洋研究所」の学者たちが建設スタッフとして協力しながら推し進められたプロジェクトなのです。
また学術的なものだけに限らず、クラゲの水槽などは海のアートジュエリーBOXと言っても過言ではない美しさです。
ここでちょっとトリビアの泉・・・館長はヒューレッドパッカード社の創始者の娘さんで、スタンフォード大学の海洋学者であり、しかもこの施設はパパからの贈り物?・・・という噂があり、我々は ジャック・二クラウスのパパからの「ゴルフ場プレゼント」の例もあり、さすがアメリカ、スケールが違うと感心したものです。
で、結論・・・良い水族館とはこの『モントレイ水族館』の例に見るように、地元の自然環境を基本に、桟橋の杭、岸壁のごみの中を泳ぐ魚達もそのままに、海と人との関わりをありのままに見せ、水中の擬岩も実際にその海域を潜水調査した上で再現するなど、それはまさに地元の海を研究し尽くした自然環境の再現と呼ぶべきものなのでありまして、要するに水族館とは、本来の自然環境の再現性のレベルが高ければ高いほど、『良い水族館』と呼べるのではないでしょうか。
蝉麻呂